認知療法・認知行動療法
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慢性的な痛み 認知行動療法 運動療法

慢性的な痛み 認知行動療法 運動療法

カイラックス整体スクール受講生OB・OGに配信しております。

慢性的な痛みには認知行動療法と

運動療法の併用が効果的

という話をご紹介させて頂きます。

18歳以上の日本人約11,000人を対象にした

日本における慢性筋骨格筋の有病率と特徴)では、

痛みが6カ月以上持続しており

Visual Analogue Scale(VAS)で

5以上の痛みの有症率は15,4%おり

複数回答形式で疼痛部位は

腰の65%で次に首および肩の55%

膝とその周辺の26%)と報告されています。

国際疼痛学会では「慢性疼痛」とは

「治療を要すると期待される時間の枠を

越えて持続する痛みあるいは進行性の

非がん性疼痛に関する痛み」と定義され

3カ月間を超えて持続もしくは再発する

または急性組織損傷の回復後1カ月を超えて

持続する痛みと考えられています2)。

 

痛みの要因別分類では

侵害受容性疼痛

神経障害性疼痛

心理社会的疼痛の3つがあり3)

慢性化すると、痛みの要因は

これら3つのどれか1つに

起因することは少なく

さまざまな原因が複雑に絡んだ

混合性疼痛が多いと考えられています。

 

痛みには、急性痛と慢性疼痛の違いがあり

慢性疼痛には、急性痛が遷延化した慢性疼痛と

難治性慢性疼痛の2つがあります4)。

慢性疼痛は侵害受容器の興奮によるもので

鎮痛薬などで鎮痛効果が期待できますが、

難治性慢性疼痛では、

組織の修復期間を超える期間(6カ月以上)持続し、

神経系の可塑的変化の機序も考えられることや

睡眠障害、食欲不振、日常生活動作(ADL)の障害などから

難治性になることも考えられることから

体や心、環境といった視点からの

アプローチが必要だということが考えられます。

 

腰などの疼痛

慢性腰痛に対しての運動療法の効果について

randomized controlled trial(RCT)による

定量的システマティックレビューでは、

有酸素運動や筋力強化訓練などの

一般的な運動療法の効果は

無治療群などと比較して

疼痛および機能障害

さらに生活の質の改善効果がみられることや

モーターコントロールエクササイズは、

先行研究からも、通常の運動療法と比較して

介入期間によらず痛みと身体機能により

高い改善効果があると報告されています5)。

 

以前ブログでもご紹介させて頂きましたが

慢性非特異的腰痛管理

ヨーロピアンガイドラインにおいても

「運動療法」と「認知療法」が有効でありR)。

長期的な薬物療法や何度も繰り返されるような

ブロック療法は推奨されていません。

 

認知行動療法とは

ある出来事に対する

認知や捉え方と行動を変えることで、

問題への効果的な対処の仕方を習得して

この心理教育により患者が自身のカウンセラーとなり

症状の予防ができるようにする治療法6)です。

施術家にとっても手技に加えて

「運動療法」と「認知療法」といった

知識や考え方を知ることは、今後より一層

必要になってきます。

 

公開日2020.2.4

参照WEB)

1)Nakamura M, Nishiwaki Y, Ushida T, Toyama Y:Prevalence and characteristics of chronic musculoskeletal pain in Japan. J Orthop Sci2011;6:424-432)

2)服部政治,竹島直純,木村信康,山本一嗣,水谷明 男,野口隆之:日本における慢性疼痛を保有する患 者に対する大規模調査.ペインクリニック2004;25:1541-1551

3) 井上雅之,牛田享宏:痛みの概念,定義.慢性疼痛 疾患(田口敏彦 編).最新医学社,大阪,2016;pp 8-14

4) 川井康嗣,大賀美穂,原田英宜,又吉宏昭,松本美 志也:慢性疼痛の評価と治療における薬物療法の位 置づけ.臨床整形外科 2011;46:303-310

5) Chou R, Deyo R, Friedly J, Skelly A, Hashimoto R, Weimer M, Fu R, Dana T, Kraegel P, Griffin J, Grusing S, Brodt ED:Nonpharmacologic Therapies for Low Back Pain:A Systematic Review for an American College of Physicians Clinical Practice Guideline. Ann Intern Med 2017;166:493-505

6) 笠原 諭:慢性疼痛における認知行動療法の理論と 実際.日本運動器疼痛研究会誌 2010÷;2:39-47

公開日 2020、2、5

相澤 景太

カイラックス治療院 代表

整体師 鍼灸師(国家資格)コンディショニングトレーナー

早稲田大学 人間科学部 健康福祉科学科卒

早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科 健康マネジメントコース修士課程修了(スポーツ科学)

早稲田大学スポーツ産業研究所 招聘研究員

日本工学院八王子専門学校教育課程編成委員会委員 (2016年~) 

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