鏡の前で足をそろえると、膝と膝の間が気になる。
パンツを履いたときも膝の位置が外に広がり、「内ももを鍛えれば脚がまっすぐになるのかな」と考えていませんか。
O脚が気になるからといって、立つたびに膝をぎゅっと寄せる必要はありません。
まず分けたいのは、骨の配列と、立つ・動くときの脚の使い方です。
内ももの筋トレでできることにも範囲があります。
この記事では、膝がつかない見え方を整理したうえで、膝を閉じることに頼らず、足裏から身体を支えて一歩を出す練習を紹介します。
膝が離れる理由は、内ももの弱さだけでは決まらない
一般にO脚は、足をそろえたときに左右の膝が離れる脚の配列を指します[1]。
ただし、自分の写真にすき間が写っているだけで、骨のどの部分がどれくらい曲がっているのかまでは分かりません。
見た目の確認では、最初から膝を近づけようとせず、普段どおりに立った姿を見てみましょう。
足先を極端に外へ開いたり、膝を後ろへ押し込んだりしていないかも一緒に見ます。
そのあと、無理なくできる範囲で足を近づけ、膝と足首の位置を確認します。
「膝がつくまで足先を回す」という合わせ方はしません。
写真を残すなら、カメラの高さ・距離・足の向きをそろえると比較しやすくなります。
立つたびに条件を変えると、脚の形が変化したのか、写り方が変わったのかを区別しにくいためです。
指が何本入るかだけで、改善の必要性や原因を決めないようにしましょう。
また、膝のすき間よりも「膝は近いのに、ふくらはぎが外へ張り出して見える」ことが悩みの中心なら、膝下O脚・XO脚と呼ばれる見え方についての記事が参考になります。
O脚という言葉だけでまとめず、気になる場所を分けることが、自分に合った見直しの出発点です。
背中を丸めて腰を落としたときと、身体を起こしたときでは、脚の構え方も変わります。
姿勢を見ることは大切ですが、「O脚だから骨盤は必ず後ろに傾いている」とは決めつけません。
膝のすき間から骨盤の向きや筋力まで、一度に判断することはできないからです。
内ももを鍛えることと、膝を閉じ続けることは別
内ももにある内転筋群には、太ももを身体の内側へ動かす働きがあります[2]。
そのため、内ももの運動でその部分を使う感覚を練習すること自体と、O脚の骨の配列を変えることは分けて考えます。
成人の骨の形を、筋トレやストレッチでまっすぐに変えられるわけではありません[1]。
「筋トレをしているのに膝がつかない」ときも、回数不足と決めて強く締め続ける必要はありません。
膝がつくかどうかだけを成果にすると、足先をねじったり、息を止めたりしてでも閉じたくなってしまいます。
例えば、椅子でクッションを膝に挟む運動と、立ったまま膝を押しつけて過ごすことは別の動作です。
運動中に筋肉を使うことが、そのまま一日中の立ち方の目標になるわけではありません。
内ももを意識した途端に足指が丸まる、外くるぶし側へ体重が逃げる、呼吸が浅くなるなら、まず力を弱めてみましょう。
カイラックスが立ち方で大切にしているのは、脚を締めて形を作ることよりも、足裏と体幹で身体を支える感覚です。
足は腰幅を目安に自然に開き、膝同士は離したままで構いません。
足指を握らず、かかと・親指の付け根・小指の付け根が床に触れていることを確かめます。
これは三点に同じ強さで押しつける指示ではなく、足裏の一部だけで踏ん張っていないかを見るための目安です。
そこで、お腹を縦に引き上げ、下腹部を軽く薄くするドローインを添えます。
骨盤の上に背骨と頭を積み木のように重ねるイメージで、肩を上げずに呼吸を続けましょう。
力加減は「1時間くらい自然に支えられそう」な軽さです。
1時間続ける運動の指示ではありません。
この姿勢にした瞬間、膝のすき間がなくなることを求める必要はありません。
まず比べたいのは、膝を寄せようと頑張っていたときより、足指や太ももの力を抜きやすいかどうかです。
膝を閉じずに練習する、小さな曲げ伸ばしと一歩目
立った形を何度も作り直すより、少し動いたときに脚がどう動くかを確かめてみましょう。
最初は浅い曲げ伸ばし、そのあとに数歩の歩行へつなげます。
ここで紹介するのは、日常動作の練習であり、骨の変形を矯正する方法ではありません。
動かない安定した椅子の背につかまり、足を腰幅程度に開きます。
かかとを床につけたまま、膝をゆっくり浅く曲げて戻します。
NHSのミニスクワットでも、椅子で支え、足を腰幅にして膝を曲げ伸ばしする方法が紹介されています[3]。
深くしゃがむことや、膝を閉じることを目標にしないでください。
膝が足先と大きく違う方向へ流れない範囲で、小さく動かしてみます。
膝を正面へ向けようとして、足裏が浮くほどねじる必要もありません。
初めは2~3回ほど動いて、足裏の接地と力みを確かめるところからで十分です。
次に、普段の歩幅で数歩歩いてみましょう。
膝同士をこすり合わせるような狭い歩き方や、一本線の上を歩くような足運びに変える必要はありません。
膝のすき間を隠そうとするより、左右の足で無理なく踏み替えられるかを見ます。
お腹の軽い支えを保ち、かかとから足裏へ体重を受け渡します。
後ろに残った足のつま先・親指側で軽く床を蹴り、次の一歩へつなげます。
大きく蹴り出す、足指で床をつかむ、膝を強く伸ばし切る動きにはしません。
歩幅を広げるより、呼吸を止めずに一歩ずつ進めることを優先しましょう。
見直しの目印は、「今日は膝が何ミリ近づいたか」だけではありません。
曲げ伸ばしで足裏が浮かないか、歩くたびに内ももを締め続けていないか、止まったときに脚へ力を入れ直さなくてよいか。
日常で再現できる動きを、一つずつ見つけていきましょう。
カイラックスでは、膝のすき間だけを見るのではなく、立ったときの足裏、骨盤と上半身の位置、歩くときの踏み替えを一緒に確認します。
「自分ではどこを力ませているか分からない」「内ももを意識するほど歩きづらい」という方は、普段の立ち方・歩き方から整理していきましょう。
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【監修】
カイラックス治療院代表 相澤景太
治療家 鍼灸師 整体師 コンディショニングトレーナー
早稲田大学人間科学部健康福祉科学科卒
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科
健康スポーツマネジメントコース修士課程修了(スポーツ科学)
日本健康スポーツ従事者協会 理事長
【参考資料】
[1]Hospital for Special Surgery「How to Correct Bowlegs in Adults」
https://opti-prod.hss.edu/health-library/conditions-and-treatments/correct-bowlegs-adults
参照箇所:冒頭の定義、および「Can bowlegs be corrected without surgery?」。
本文との対応:足をそろえたときに膝が離れるという説明と、成人の骨の形を筋トレやストレッチで変えられるわけではないという説明。
整形外科医による解説で、手術対象の骨性変形も扱う資料です。
本記事の読者全員に同じ状態があると判断する目的や、整体の効果を裏づける目的では使用していません。
[2]OpenStax「Anatomy and Physiology 2e」11.6
https://openstax.org/books/anatomy-and-physiology-2e/pages/11-6-appendicular-muscles-of-the-pelvic-girdle-and-lower-limbs
参照箇所:「Thigh Muscles That Move the Femur, Tibia, and Fibula」冒頭の内側区画の説明。
本文との対応:内ももの内転筋群が、股関節で太ももを内側へ動かす働きを担うという説明。
筋肉の働きを示す解剖学資料であり、内転筋の強化によるO脚の改善効果を示す研究ではありません。
[3]NHS「Strength exercises」
https://www.nhs.uk/live-well/exercise/strength-exercises/
参照箇所:「Mini-squats」A~Cと、ページ冒頭の安定した椅子の条件。
本文との対応:椅子につかまり、足を腰幅に開いて行う浅い曲げ伸ばしの方法。
本記事の2~3回という始め方は、動きを確認するための提案です。
O脚を治す回数・運動処方として示したものではありません。




